HPを見て下さっている皆様へ、
近年、中東でのMERSコロナウイルス、ブラジルでのジカウイルス、そしてアフリカでのエボラウイルスのアウトブレイクが話題となりました。また、季節性インフルエンザ、ヒトRSウイルス、ノロウイルス等は毎年の様に流行を繰り返します。さらに、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、エイズウイルス等は持続感染し慢性疾患を惹起します。このように人類の脅威となる多くのウイルス感染症が今なお存在しており、これらの感染症の治療薬やワクチンの開発につながる基礎研究は、社会的要請度の高い研究分野だと考えられます。
ヒトゲノムにコードされている蛋白質は数万個と言われていますが、私たちが扱っているウイルスが持つ蛋白質は5個から10個しかありません。そのため、ウイルスは高度にチューンナップされた、たった数個のウイルス蛋白質を駆使して免疫機構を逃れて感染増殖し、病気を引き起こします。地球上には多くのウイルスが存在し、ウイルスにとれば、宿主が病気になってしまうことは自分の生存にとって不利でしょうから、ほとんどのウイルスは病気を起こさず、宿主と仲良くしています。その中で1部の少数のウイルスが、なぜか(間違ったのかも?)宿主を傷つけてしまい、病気にしてしまっていると考えます。私たちの研究室では、ウイルス感染によってなぜ病気になるのかを明らかにしたいと日々研究しています。
私は、修士課程まで工学部に在籍し、基礎医学とは無縁の世界からウイルス学に飛び込んで来ました。基礎医学研究は、専門分野・学歴・経験を一切問わず、どんな人でもチャンスがあり希望あふれる世界です。私は博士課程でPCRを学びました。コツコツと技術・アイデアを積み上げて、新しい事象を発見する喜びを共有できれば幸いです。
岡本 徹
2019年某日、岡本教授お祝い会